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女子大生 成宮恵理(1)

久しぶりに台風がここの地方を直撃した。去年は一度も来なかったのに。

幸い、恵理が結婚した夫と住んでいるこの家は小高い丘の上にあるため、川の増水による被害の心配はまずしなくていい。

他にも殆ど自然災害というものを受けた事のない住宅街であるから、こういう時でも安心していられる。

しかしこの暴風雨ではさすがに外に出歩くことはできない。

買い物は行けないし、洗濯物も干せない、湿気が多いから部屋の掃除だってする気にはなれない。

だから専業主婦である恵理は、夫が仕事で居ない間、家の中で何もせず、じっと台風が過ぎ去るのを待っていた。

リビングで1人、紅茶を飲みながら窓の外を眺める。

凄い音。

外では自然の力が猛威を振るっていて、その音が他の全ての音を掻き消している。

聞こえるのは窓に雨が叩きつけられる音と、建物の隙間を勢い良く通り抜けていく風の音だけ。

絶え間なく鳴り響くこの音の中では、きっとどれだけ大きな声を発しても、近所住民の耳にそれが届く事はないだろう。

そう、聞えない。

絶対聞えない。


『大丈夫だよ我慢しなくても、ほら、外凄い音だし、絶対聞えないよ。』


ボーっと外を眺めていた恵理の頭の中で、ある男の声が再生された。

また、思い出しちゃった。

恵理の脳内に録音されていたその声は、もう10年近くも前のもの。

そろそろ忘れてもいいはずなのに、なぜかまだ残ってる。

台風が来るたびに蘇ってくる、あの人の声。

台風が来るたびに恵理はあの人の事を、あの日の事を思い出してしまうんだ。

それは、恵理がまだ大学生だった頃の話。

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[ 2012/11/01 ] TB(0) | CM(0)

女子大生 成宮恵理(2)

「おーい!奈々ぁ!早く開けてくれよぉ!」


そんな声と共に、ドンドンドンというドアを叩く音が聞こえる。

恵理の部屋のドアではない。

隣の、奈々の部屋のドアを叩く音だ。

そしてドアを叩きながら大声を出しているのは、その奈々の彼氏である橋川悠一郎だ。


「あれ、いねぇのか?」


悠一郎はそんな事を呟きながらまたドアを叩いて奈々の名前を呼んでいた。

恵理はなぜ奈々が部屋から出てこないのか、その理由を知っていたが、しばらく放置したのち、しょうがないなぁと立ち上がり、自分の部屋から顔だけを出して奈々の部屋の前に立っていた悠一郎に声を掛けた。


「奈々なら今日から実家に帰ってるから居ないよ。」


悠一郎は恵理の声に反応して振り向くと、思い出したように目を丸くした。


「あっ!そうか、そういえばそんな事言ってたな、今日からだったのか。うわぁ、しまった、メールすればよかった。」


手を頭に当てて嘆く悠一郎。

髪や服は雨のせいでずぶ濡れ状態、手にはコンビニの袋とレンタルDVDの袋が持たれていた。

今日も奈々の部屋に泊まっていくつもりだったのだろう。


「あ~ぁ、どうしようかなぁ。」


悠一郎は何やらわざとらしくそう言って困り果てたような表情をしてみせている。

しかし恵理はそれを見ても、私には関係ないといった様子でそのまま顔を引っ込めてドアを閉めようとする。

が、悠一郎はそんな恵理を慌てて引き止めた。


「あっ!ちょ、ちょっと待って!」


「何?」


「冷たいなぁ、恵理は。」


「え?何が?」


「いやだって俺ずぶ濡れだし、この雨だよ?」


「だから何よ。」


「あれ、なんか怒ってる?」


「別に……もう、だから何が言いたいの?」


「いやこの雨だし、少しの間だけ雨宿りさせてくれないかなぁ……なんて。」


「私の部屋に?」


「そう、ダメ?」


「……駄目だよ、そんなの。」


「えーなんでさ?前はよく奈々と3人で恵理の部屋でも遊んでたじゃん。」


「それは……前まではね。でも今は違うじゃない、その……色々と。」


「あ、もしかして奈々に気を使ってるのか?そんなの気にしなくていいのに。俺が恵理の部屋に入ったからってアイツなんとも思わないぜ?確かに嫉妬深いところあるけどさ、恵理なら別だよ。俺達の仲じゃん。」


確かにそうかもしれない。

奈々は悠一郎から恵理の部屋で雨宿りをさせてもらったと聞いても、きっと心配も嫉妬もしないだろう。

なぜなら3人は少し前まで凄く仲の良い友人だったから。

男女の友情は成立しないなんてよく聞くけど、少なくともこの前までは成立していた。恵理はそう思っていた。

同じ大学で知り合った3人。

しかも偶然にも恵理と奈々は同じアパートの隣同士。

だから悠一郎はよくこのアパートに遊びに来ていた。

ある日は奈々の部屋で3人でゲームをしたり、ある日は恵理の部屋で鍋パーティーをしたり。

男とか女とか関係なく、まるで兄弟姉妹のような。そう、確かに3人は親友と呼んでもいい程仲が良かった。

しかし、その関係がある日を境に変わってしまった。

いや、〝崩れてしまった〟と表現してもいいかもしれない。

恵理は奈々から初めてそれを聞かされた時、確かに心の中の何かが崩れていくのを感じたのだから。

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[ 2012/11/02 ] TB(0) | CM(2)

女子大生 成宮恵理(3)

「私、実はさ、悠一郎と付き合う事になったんだよね。」


「……へ?」


恵理は思わずマヌケな声を発してしまった。

人間、脳が全く理解できない事を聞いてしまうと、こういうマヌケな声が口から出てしまうものなのかもしれない。


「やっぱり、恵理には最初に伝えた方がいいと思って。」


奈々は恥ずかしそうに顔を赤らめてそう言った。

奈々のこんな顔、初めて見た。

奈々はどちらかというと活発なタイプで、見た目は可愛らしいけど、中身は男っぽい性格というか、こんな嬉し恥ずかし恋する乙女的な表情をするところを恵理は見た事なかったのだ。

だけど、意味が分からない。


「え?え?どういう事?付き合うって……え?」


「うん……だから、そういう事。」


「奈々と悠一郎君が?」


恵理の問いに、奈々は恥ずかしそうに小さく頷く。


「ちょ、ちょっと待って、えーっと……ホントに?」


「ごめん、驚いた?」


「う、うん、驚いた。ていうか……」


驚いたなんてもんじゃない。

何かハンマーのような硬い物で頭を思いっきり殴られたような気分。

だから、本当に訳が分からない。

一生懸命頭で理解しようとしても、血の気がサーっと引いていくようで、頭に全く血液が回らず思考できない。

そんな中で恵理は必死に思い浮かんだものを発していく。

理解するための材料を奈々の口から聞き出さないと、パニックになってしまいそう。いや、もう半分はパニック状態。


「そういう関係だったっけ?」


「だよね、だって私自身驚いてるもん。まさか悠一郎の彼女になるなんて。」


悠一郎の彼女、なぜかその言葉を聞いただけでも胸がグッと締め付けられて苦しくなる。


「凄いビックリ……っていうか、ど、どうしてそんな事になったの?」


仲の良い友人に恋人ができたと知らされた場合は、すぐに「わーおめでとー!よかったねー!」と言うのが普通なのかもしれないが、この時の恵理には奈々に祝福の言葉を送る余裕は無かった。

どういう顔をしたら良いのかも分からなくて、口角の片方だけがつり上がって、笑っているのか怒っているのか泣きそうなのかが判別できないような変な顔をしていた。


「あのね、詳しく話すと長くなるんだけど、たまたま悠一郎と2人で話してる時にそういう話になって」


「そういう話って?」


「だからその、恋愛の話に。それで色々と話しているうちにね、悠一郎が『じゃあ俺達も付き合ってみるかぁ!』って言ってきたから。で、付き合う事になっちゃった。」


「付き合う事になっちゃったって……ていうかいつ?」


「ほら、この前私の部屋で飲み会して、恵理がバイトで来れなかった時あったでしょ?あの時。」


奈々の顔は終始笑顔で、嬉しそうだった。

それはそうだよね、だって恋人ができたのだから。

誰だって、恋人ができてすぐは浮かれてしまうものだし。

でも、それでも理解できない。だって奈々はそんな素振り今まで一度も見せなかったんだから。

目の前で女の子してる奈々の姿に、違和感があり過ぎる。


「奈々って、悠一郎君の事好きだったの?」


「うん。ていうかよく分からないけど、好きだった事に気付いたって感じかな。」


「で、付き合ってみるかぁって、そんな軽い感じで付き合う事にしたの?」


「ううん、ちゃんと言われたよ。その……悠一郎の気持ちを……。」


「なんて?」


「え~!それも言わないといけないのぉ?恥ずかしいよぉ。」


恵理からしてみれば、悠一郎にも違和感を感じてしまう。

悠一郎が奈々に告白してる姿なんて、恵理には想像できなかった。


「あのね、前から好きだったって、そう言われたの。」


恵理はそこでまた頭をガツンと殴られた。

衝撃でグラグラと目の前が揺れている。吐き気がしそう。


そうだったんだ。

好きだったんだ。

悠一郎君は、前から奈々の事が好きだったんだ。

知らなかった。

全然気付かなかった。

ずっといっしょにいたのに。


「それで私も言われて気付いたっていうか……ほら、よく言うじゃない、相手が近過ぎて自分の気持ちに気付けないって。たぶんそれだったんだと思う、私。だから、うん、付き合う事にしました、はい。」


そして奈々は最後に、「以上、私からの報告でした。」と締めくくった。


「お、おめでとう。」


ここまできてやっと恵理の口からその言葉が出た。

祝福の気持ちを込めることなんかできない。ただ、フワフワした気持ちで、とりあえず言わないといけないと思って言ったという感じ。


「ありがとう。あーもう、なんかやっぱり恵理にこういう話するのって恥ずかしいね。しかも相手が悠一郎だし。」


今日は大事な話があるというから何だろうと思っていたら、まさかこんな事になるなんて。

その後も奈々はテンション高めで悠一郎の事を話し続けていたけれど、恵理は正直よく覚えていない。

適当に会話を合わせながら、ずっと笑顔の奈々を眺めていた。

奈々、凄く幸せそう。

親友の奈々がこんなに嬉しそうなんだから、私も嬉しいはず。

でも、どうしてだろう。

どうして私はこんなにも動揺しているんだろう。

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[ 2012/11/06 ] TB(0) | CM(6)

女子大生 成宮恵理(4)

悠一郎と奈々は付き合いだしてからも今まで通りに恵理に接してきた。

2人は恵理の部屋にもよく遊びに来ていたし、食事にも3人で行ったり。

しかし、それは長くは続かなかった。

少しずつ距離を置き始めたのは恵理の方からだ。

当たり前といえば当たり前。

恵理が2人に気を使わずにいれるはずがない。

悠一郎と奈々は恵理の前では全く以前と同じ態度、3人の関係は平等、同じ距離感を保っているように見える。

しかし恵理がいなくなって2人きりになった途端に、その距離は一気に縮み、ラブラブのカップルに切り替わるんだ。

それを想像するだけで、何か自分が邪魔者であるような気がしてしまう。

悠一郎と奈々は恵理の事を邪魔者だなんて思っていないのだろうが、恵理がそう思ってしまうのだ。

私、邪魔じゃん、と。

だから恵理は2人からの誘いを何かと理由を付けて断るようになっていった。

奈々は恵理と3人でいる時の方が楽しい!なんて言ってくるけれど、それは違うでしょ。

恋人同士が2人きりでいる時と、友達とワイワイやってる時の楽しいは、全く意味が違うのだから。

恵理だって、今までに男性と付き合った事くらいはある。だからそれはよく分かるんだ。

いいよもう、2人で仲良く幸せな道を歩んでいってよ、私は私で他の道を進んでいくからさ。

そんな少し投げやりな気持ちになる。

いや、実際それしかないでしょ、と恵理は思っていたのだが、現実はそう簡単にはいかなかった。

なぜなら、恵理と奈々は同じアパートで隣同士の部屋に住んでいるのだから。

距離を置こうと思っても、物理的な距離は近いまま。

あからさまに避けない限り、毎日顔を合わせてしまう。

いっその事引っ越そうかななんて思ってみたりもしたが、それは無理。

このアパートの家賃を全て親に払ってもらっている恵理、なんて説明したらいいのか。

正直に話しても許可が出るかは微妙だし、そんな恥ずかしい話はしたくない。

ストーカーに狙われてて、なんて言ったら引っ越させてくれるかもしれないが、この歳になって親に嘘をつくのにも抵抗がある。心配もするし。

だから残りの大学生活、このアパートで暮らすしかない。

隣同士で何か問題があるの?と聞かれれば、大いにあった。

それは悠一郎と奈々が付き合いだして2ヶ月程が過ぎた頃からだった。

恵理の部屋まで聞こえてくるのだ。2人のあの時の声が。

男女の付き合いをすれば誰でも必ずする〝あれ〟の事。

最初の頃はホテルを使っていたようだったけれど、なにせ2人はまだ学生でお金がない。

悠一郎の部屋に行けばいいのにって思ったけれど、よく考えたら悠一郎は大学が提供している激安男子寮に住んでいて、寮は異性の連れ込み厳禁だったからそれができなかったのだろう。

しかしそれは恵理にとっては迷惑な事だった。

微かに聞こえるとかそういうレベルではない、まさに丸聞こえ。

このアパートってこんなに壁薄かったっけ?

そういえば前はよくテレビ番組なんか見てると奈々からメールで『恵理今〇〇見てるでしょ~?私もそっち行って一緒に見ていい?』などときて、こっちの部屋によく遊びに来てたっけ。

あの時はプライバシーとかそんなに気にならなくて楽しかったから良かったけれど、今となっては問題あり。

どれだけ薄いのよ!ベニヤ板一枚かよ!ってくらい聞こえる。

しかし恵理はそれに対して親しい友人らしく『も~ちょっとぉ!聞えてるんですけどぉ!』と笑いながら突っ込む事などできなかった。

だって、ショックだったから。

あ~、2人は男と女として本当に付き合ってるんだな、私は1人になってしまったんだなと実感して、なんだか同時に2人の友達を一気に失ってしまったようで、ショック。


それだけ?

本当に1人になったと思うの?関係が変わったといっても2人が自分にとって友達である事には変わりはないのに。

分からない。

どうして心から2人を祝福できないのかが、自分でも分からない。

隣から聞えてくる、男と女の声、息遣い。

いや、特に恵理の耳に届いていたのは男の方の声、悠一郎の声だった。

そう、恵理は初めて聞く悠一郎の男の声にショックを受けていたのだ。

そしてそこで恵理は気付いてしまったのだ。

2人が付き合っていると聞いて、どうしてあんなにも動揺してしまったのかを。

その悠一郎の声を聞いて、どうしてこんなにも胸が苦しくなるのかを。


奈々の言葉を思い出す。


『好きだった事に気付いたって感じかなぁ。』


苦しかった胸が、一気に熱くなった。

そうか、好きだったんだ、私も。

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[ 2012/11/09 ] TB(1) | CM(8)

女子大生 成宮恵理(5)

『ハァ……ハァ……』


その熱の篭った息遣いに、いつも身体が反応してしまう。

さっきまで楽しそうな笑い声がしていて、急に静かになったと思ったら、しばらくしてからその吐息の混じった声が聞こえてきた。

そして同時に鳴り始める、ベッドがギシ……ギシ……と軋む音。

今日も始まった。

この薄い壁の向こうで、悠一郎と奈々は今まさにSEXを始めたのだ。

恵理は1人、明かりを消した薄暗い自室でその声や音に聞き耳を立てる。

布団の中に入り、目を閉じて、集中して聞く。

本当はこんなの聞きたくないはず。

自分の中に存在していた、悠一郎への想い。

それに気付いてからは、ただただ悲しかった。

隣から2人の楽しそうな声が聞こえてくる度に苦しくて、涙がこぼれた。

そして心の中に生まれる、嫉妬という感情。

苦痛だった。

それなのに、なぜか聞こえてくる声に耳を傾けてしまっている自分がいた。

知らず知らずの内に聞き入ってしまう。

悠一郎の声に、夢中になってしまう自分がいた。

今までは意識してこなかったけれど、今ではハッキリと分かる。

私は悠一郎の声が好き、と。

あの普段聞かせてくれる、カラッとして明るい声が好き。

そして壁の向こうから聞こえる、男らしい声と息遣いにもウットリしてしまう。

なんというか、悠一郎の声や息遣いは、とてもセクシーだった。

その声に胸の奥をギュッと掴まれて、頭の中がピンク色に染まっていく。


『ん……はァ……あっあっあっ……』


奈々の喘ぎ声。

普段の奈々の口からは聞いた事ないような色の声。

感じてるんだ。

声を抑えようとしているけど、それでも気持ち良くて漏れてしまう、そんな感じの声だった。


『あっあっダメッ……ハぁンッ!ンッあっあっあっ!はァアアア!スゴイ……あっあっ……』


ギシギシギシギシッ……!!


音も声も、段々と激しくなっていく。

こちらまで震動が伝わってきそう。

奈々は大分快感を感じているようで、切羽詰った感じであられもない喘ぎ声を発していた。

恵理にもSEXの経験はあるが、こんな声は出したことがない。


悠一郎君って、エッチ上手なのかな。


悠一郎の、卑猥な妄想で頭の中が埋まっていく。

そして布団の中で恵理の右手は自然と下着の中へと移動していった。


濡れてる。


グッショリと、自分でも驚くくらいに。


「ん……」


自分の愛液で指を濡らし、敏感な部分を刺激する。

自慰行為、マスタターベーション、オナニー。

恵理は元々それを滅多にしないタイプだった。

したとしても数ヶ月に一度するかしないか程度。

だから自分ではそれ程性欲が強いとは思っていなかった。

でもこうして奈々の喘ぎ声の隙間から聞こえてくる悠一郎の息遣いと、恐らく悠一郎が腰を動かしている事で揺れているであろうこの震動を感じると、どうにも我慢できなくなってしまう程の性的欲求が湧いてきてしまう。


『あっあっあっ……ハァアア……イク……アアッ!』


奈々が果てる。

その後にベッドが軋む音も止まって、悠一郎も果てた事が分かる。

そしてそれと同時に恵理の手の動きも止まる。

恵理だけがイけない。絶頂無き自慰行為。

自分1人ではなかなか達する事ができないから、もどかしい。


行為が終わって、隣からはまた2人の話し声が聞こえてくる。

いつも終わった後の奈々は、甘えん坊さんのような声で悠一郎と話してる。

それを聞いて、恵理は途轍もない虚しさを感じ、憂鬱になった。

あぁ、病んでしまいそう。

でもオナニーは止められなかった。

悠一郎は週に何回かは必ず奈々の部屋に泊まりに来る。

その度に2人は身体を重ね、そのすぐ隣、壁一枚を挟んだだけの空間で、恵理も同時にオナニーを繰り返していた。

切ないし、悲しいけど止められないという、なんだかある種の依存症のようになってしまっていた。

性的快感の気持ち良さをこのオナニーで生まれて初めて知ったから、というのもあるかもしれない。

悠一郎の事を想いながらの1人エッチは気持ち良い。

しかし身体を自分で慰めていても、心だけは消費されるように日々痛々しく削られていくのを感じていた。

だから心はボロボロ。

もう限界かもしれない。


でもどうしたらいいの?

なんだか全てが嫌になって、逃げ出したくなる。

親が許してくれる訳がないけれど、大学さえ辞めたいと本気で思い始めていた。

恵理の心はそこまで追い詰められていたのだ。

しかし丁度その頃だった、あの台風が来たのは。

そしてあの夜を迎えたのだ。

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[ 2012/11/19 ] TB(1) | CM(12)