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官能小説 喰われる人妻 菜穂(1)

・PIPI's World ・ノクターンノベルズ 投稿作品
【登場人物(仮)】
・小溝智明
・小溝菜穂
・近藤
・天野

結婚8年目、菜穂と智明の夫婦生活は2年前までは順調だった。

2人の子供に恵まれ、一戸建ての家もローンを組んで購入。

智明も、さぁこれからバリバリ働いていこうと意気込んでいた矢先の事だった。

2年前の猛烈な不況の煽りによって、智明が勤めていた会社が傾き始めたのだ。

それでも真面目な智明は必死に働いた。

家族のため、そして会社のためにも。

智明は、お金のためだけに働いていた訳じゃない。高い志を持って就職した会社だ。

上司も、社長も、若い頃からお世話になった人達ばかり。

だからこの会社の危機を乗り越えるために、一社員として何とか力になりたかったのだ。

沈みかけた船から逃げ出す者も沢山いた。でも、智明は最後まで残った。

2年間は殆ど不眠不休で働いた。

菜穂もそんな智明を支えるために、妻としてできる限りのサポートはしてきた。

先行きの不安は相当なものであったし、2人共胃が痛くなるような日々が続き、その中で智明がストレスのあまり円形脱毛症になってしまった事さえあった。

菜穂はそんな智明が心配で心配で仕方なかったが、それでも一生懸命頑張っている智明を尊敬し、応援し続けた。

だが、現実は残酷だった。

一時は立て直しの兆しを見せた会社も、世の中の流れには勝てず、結局倒産してしまったのだ。


「菜穂、ごめん、こんな事になってしまって。」


「そんな、智明が謝る事ないわよ。仕方のない事だし……智明は一生懸命頑張ってくれたんだもの。」


会社は倒産し、職を失って、智明はげっそりする程落ち込んでいた。

しかし、智明には守るべき家族がいる。

生活のためには、こんな状況でも前に進まなければいけないのだ。

失業手当を支給してもらいつつ、智明は職業安定所でさっそく就職活動を始めた。

だがそこでも智明は世の中の厳しさを感じざるを得なかった。

良いと思った会社に10社程面接を受けに行ったが、すべてダメだった。

もちろん、それでも働ける場所が全くない訳ではない。

多くの事を妥協すれば、この不況の中でも雇ってくれる所はある。

でも、あまりに安い賃金では住宅ローンはとても払っていけないし、子供の養育費だって厳しい。

菜穂と沢山話し合って買った、こだわりの家。

菜穂が喜んでくれたキッチン、休日にはいつも智明が手入れしていた綺麗な庭、2つの可愛い子供部屋。

この家まで、手放さないといけないか。

どうしてこんな事に。

少し前まではあんなに幸せに暮らせていたのに。

しかし、それでも現実とは向き合わなければいけない。

菜穂はパートタイムで働き始めてくれていたが、智明も早く就職先を決める必要があった。


そんな中、前の会社で同期だった近藤という男から智明に連絡が入った。

近藤は智明よりも一足先に会社を辞め、すでに新しい会社に再就職していた。

それで近況報告がてら、久しぶりに一緒に飲まないかと。

正直今はのんびり酒を飲んでいる余裕などなかったのだが、再就職の事でなにか参考になる話が聞けるかもしれないと思い、智明は呼ばれた居酒屋に出向いた。


「おお、小溝!久しぶり!」


「久しぶり、元気そうだね。」


「ハハッ、まぁ、とりあえず一杯飲めよ。」


そう言ってグラスを智明に渡して瓶ビールを注ぐ近藤。

智明はそのビールに口を付けて少量だけ喉に流し込んだ。

元々そんなに酒は得意ではない智明。今は状況が状況だけに、特にこの酒は美味しくは感じられなかった。


「で、どうよ?最近調子は。」


「いや、それが……色々と厳しくて。」


「もしかして、まだ決まってないのか?再就職。」


「なかなかね。早く決めたいとは思っているんだけど。」


「そうなのか……意外だな、お前ならすぐに雇ってくれそうな所くらいありそうなものだけど。」


「その辺の事は少し甘く考えていたのかもしれない。まさかここまで再就職で苦しむとは思わなかったよ。」


「俺が2年前に辞めた時は今ほど悲惨な状況じゃなかったからすぐに決まったけど、やっぱり厳しいんだな、今は。」


「まいったよ、本当に。」


「悪かったな、そんな大変な状況なのに呼び出したりなんかして。」


「いや、いいよ、別に。」


「……ところで小溝、菜穂ちゃんは元気なのか?」


「菜穂?菜穂はなんとか元気でやってるよ。色々心配は掛けてしまっているけどね。菜穂のためにも、早く働く場所を決めないと……。」


それを聞いて、近藤は少し考え込むようにしていた。

そしてグラスに残っていたビールをゴクゴクと飲み干すと、こんな事を言い始めた。


「なぁ小溝、うちの会社で良かったら、人事の方に聞いてみようか?お前を雇えるかどうか。」


「えっ?いいのか?」


「ああ、うちの会社がお前が望む条件に合っているかどうか分からないけどな。」


「いや、頼むよ、ぜひ。」


近藤が再就職した会社は業界では結構大手だ。

正直智明は、早々にそこに再就職を決めた近藤の事が羨ましいと思っていたんだ。


「でもあんまり期待しないでくれよ。俺も人事に聞いてみないと、雇えるかどうかは全く分からないからさ。」


「聞いてくれるだけありがたいよ。ありがとう!本当に。」


「ま、俺も菜穂ちゃんが悲しんでる顔は見たくないしな。」


期待しないでくれよと言われても、期待してしまう。

もしこの話が良い方向に進んでくれれば、菜穂を安心させてあげられる。住宅ローンだって、どうにかなるかもしれない。

智明は心から近藤に感謝した。


だがしかし、智明はこの時思いもしなかった。

まさかこの話が、近藤の悪意に満ちたものであったとは……。

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[ 2014/04/17 ] TB(0) | CM(0)

官能小説 喰われる人妻 菜穂(2)

智明と近藤は同期だったとはいえ、実は元々そんなに仲が良い訳ではなかった。

入社当時こそ、よく一緒に飲みに行ったものだが、2年3年経つにつれ、そういう機会は減っていった。

と言うのも、智明は上司には可愛がられ、後輩にも慕われるタイプであったのに対し、近藤はその逆で、遅刻が多かったり、仕事の期限を守れなかったりと、上司からの信頼も薄く、その割に後輩には大きな態度を取っていたので嫌われていた。

そんな社内で智明が次々と昇進していく中、近藤はすっかり置いてきぼりを食い、社内で邪魔者扱いされてしまっていたのだ。

だから元々プライドだけは高い性格だった近藤は、同期の智明に尋常じゃない程の嫉妬を抱いていた。

そしてそんな中、そのプライドをさらにズタズタに破壊される出来事が起きた。

智明と菜穂の結婚だ。


同じ業界の関連企業に勤めていた菜穂に、先に目を付けていたのは近藤の方だった。

菜穂は透明感のある清楚なタイプの美人で、それでいて出しゃばったりしない控えめな性格で、近藤は菜穂と少し会話しただけでその優しげな笑顔に心奪われてしまったのだ。

整った顔立ちと高身長のスタイルを持ち合わせていた近藤は、学生時代から女には不自由してこなかった。

だから当然菜穂も自分のものにする自信があった。

しかし、菜穂からの返事はNOだった。やんわり「ごめんなさい」と。

何度か食事にも誘い、手応えはあった。もうすぐ俺のものになるぞと、確信していた。

それなのに、なぜだ。理解できなかった。

近藤にとって、女性に振られたのはそれが人生で初めての事であった。


それからしばらくして、智明と菜穂が付き合っているという話を人伝で聞いて、近藤は驚いた。

菜穂と智明が……?馬鹿な。

どうやらとある会社関係のパーティーで知り合ったらしい。

そして付き合い初めて1年半後に、智明と菜穂は結婚。

近藤があんなに口説くのに苦労していた菜穂を、智明はあっさりと奪っていったのだ。


しかし近藤も大人の男だ。みっともない所は見せられなかった。

近藤は2人の前で笑顔を見せ、祝福した。


「智明、やられたよ、本当は俺も菜穂ちゃんを狙ってたんだけどな。ハハッ冗談だよ、昔の事だ。おめでとう!俺も嬉しいよ、2人が一緒になってくれて。菜穂ちゃんを幸せにしてやれよ。」


でも内心は穏やかではなかった。

社内でも多くの祝福を受けて笑顔を見せていた智明を、近藤は隅から睨みつけていた。

これ以上ない程の屈辱感を、その時近藤は味わっていたのだ。





「人事部長の天野さんは天野社長の息子で、将来的にはうちの会社を継ぐことになるかもしれない人だから、天野さんに気に入られれば間違いないぞ。」


智明は近藤が言っていた言葉を思い出し、緊張していた。

これから受ける面接が、この先の人生を決める。

なんとしても成功させなければならなかった。


「小溝さん、どうぞ。」


「は、はい!」


その天野部長による直接の面接。

掛かった時間は、予想よりも大分短かった。


「そうですか、確かに前の会社での実績は大した物だ。う~ん、でもねぇ……いや、実は親しい近藤君からの紹介って事だったから面接しようという事になったんだけどね、うちは今どちらかと言うと中途採用には慎重でね。」


社長の息子だという天野部長は、イメージしていた人物とは違っていた。

歳は智明や近藤より二つ三つ上くらいだろうか。

もっと堅そうな人を想像していたが、なんというか、その容姿は会社員らしくないというか、社会人らしくないというか。

スーツこそ着ているものの、肌は黒く焼け、髪も染めているようだし、なんと耳にはピアスまでしていた。

身に着けているものは高級そうだし、不潔感はないが、どこか軽く見えた。


「では合否については、またこちらから連絡しますから。」


「はい、本日はどうもありがとうございました。……失礼いたしました。」


面接の手応えはなかった。

向こうの態度からは、仕方なく面接をしてやっているという雰囲気が漂っていた。

天野部長の表情は、なんとも面倒臭そうで、さっさと終わらせたいという本音が透けて見えていた。

正直、今まで受けた10社よりも面接の出来は悪いように思えた。

智明は暗い気持ちで家に帰った。



「おかえりなさい。」


家の玄関のドアを開けると、エプロン姿の菜穂が迎えてくれた。

キッチンの方からは美味しそうな香りがする。

菜穂はこんな大変な時期でも家族の食事を全て手作りしてくれていた。

菜穂自身もパートの仕事や子育てで多忙だというのに、色々と工夫しながらお金の掛からない節約料理を家族のために。

食事の時くらいは美味しい物を食べて、笑顔になってほしいという菜穂らしい前向きな優しさだった。

その菜穂の優しさや、子供たちの笑顔が、どれだけ智明の心の支えになってきた事か。

しかし今日ばかりは、さすがにそんな料理でも喉をなかなか通ってはくれなかった。


食事やお風呂を済ませ、子供達を寝かせた後、智明は重そうに口を開いた。


「今日行ってきた面接の事なんだけど……駄目かもしれない。」


「ぇ……」


「たぶん今日の感じだと……採用はしてくれないと思う。」


「……そう、だったの……」


〝駄目かもしれない〟という智明の言葉に、菜穂もショックを隠しきれていなかった。

近藤から話があった時には、正直菜穂も期待してしまっていたのだ。これで決まってくれればと。

しかし菜穂は落ち込む智明の姿を見てしばらく考え込むようにした後、こう話し始めた。


「ねぇ智明、私……この家は諦めてもいいよ。私は子供達と智明が元気でいてくれれば、それだけで幸せだし。それに私も働けるし、きっと家族で協力していけば大丈夫よ。ね?」


そう言って菜穂は下を向く智明の手をとって、両手で包み込むようにして握った。


「……ぅ……ごめん……菜穂……」


「大丈夫、大丈夫だよ、智明。」


智明は菜穂の優しさに包まれながら、男泣きしていた。

ここ数年ずっと辛い時期を過ごしてきた智明、もう精神的に限界を超えていたのだ。



しかしそれから数日後、近藤から思わぬ連絡が入った。

なんと、近藤が天野部長との食事会をセッティングしてくれたのだと言う。

そこで採用について天野部長から前向きな話があると。


「それでな小溝、そこにはぜひ菜穂ちゃんも出席してほしいんだよ。」


「え?菜穂も?」


「あぁ、ぜひ夫婦で来てほしいんだ。その方が印象も良いと思うし。駄目か?」


「いや、そんな事はないけど……分かったよ、菜穂も一緒に行けばいいんだね?」


「あぁ、じゃあ頼むよ。」

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[ 2014/04/18 ] TB(0) | CM(0)

官能小説 喰われる人妻 菜穂(3)

「奥さんどうです?ここのフォアグラ、美味しいでしょう?」


「は、はい、とっても。」


「しかし、まさか小溝さんの奥さんがこんなに美人な方だったとはねぇ、驚いたよ。」


食事会はとあるフランス料理店の個室で行われていた。

席に座っているのは近藤と人事部長の天野、そして智明と菜穂の4人である。

この食事会がいかに大事なものであるかを、菜穂はしっかり認識していた。

なにせ目の前にいるこの人事部長のさじ加減一つで、夫の仕事と、自分達家族の今後の生活が左右されるのだから。

正直リラックスして食事なんてできなかったし、料理を味わう余裕だってなかった。

どうして妻である自分までもここに呼ばれたのかは分からなかったが、とにかく、相手に失礼があってはいけない。

智明の妻として、できる限りの気遣いはしないと。


「お二人はもうご結婚されてどれくらいなんですか?」


「もう8年目になります。」


「8年?へぇ、まだ新婚夫婦のように見えるのに。お子さんは?」


「子供は2人、います。」


「2人もいるんですか、それはそれは、良いですねぇ。でも奥さんは本当に、子持ちとは思えないほど若々しくてお綺麗だ。」


「いえ、そんな……」


「奥さんはモデルでもやっていらしたんですか?」


「私がモデルですか?い、いえ。」


「本当に?どこからかスカウトがあってもおかしくなさそうなのになぁ。まぁ私がスカウトマンだったらこんな美人、間違いなく声を掛けますけどねぇ、ハハハッ!」


少し話をして、菜穂はこの人事部長の天野という男が苦手だと思った。

前もって智明から聞いていたものの、その風貌はとても会社員には見えないし、出てくる話題も、なんとなく不真面目と言うか、セクハラじみているような気がする。

それに悪気はないのかもしれないが、目つきや視線もイヤらしいような感じがしたのだ。

ギラギラして脂ぎっていると言うか、顔だけではなく身体までじっくり観察されているような、そんな視線。

もちろんそれは菜穂が我慢できない程のものではない。

いや今日に限っては、どんな事を言われようとも笑顔で応えなければならないのだ。家族のために。


それからも話題は菜穂の事が中心だった。

大学時代やOL時代の事を色々聞かれたり、子供はもっと増やすつもりはないんですか?なんて事まで聞かれた。

採用に関しての話だと聞いてきたのに、智明の方には殆ど目もくれない。


「奥さんは腰がしっかりしてそうだし、へへ、もっと沢山子作りして、2人と言わずに3人4人と作ればいいのに。今は少子化だしな。近藤君もそう思うだろ?」


「ハハッ、そうですね。」


デリカシーのない言葉。

でも嫌な顔は見せらない菜穂は、頑張って笑顔を作っていた。

そしてそれからしばらくしてデザートが運ばれてきた頃に、やっと話は本題に入っていった。


「しかし大変だったでしょう、子供もいるのに旦那さんの会社が倒産してしまうなんて。」


「……そう、ですね。」


「今はどこも厳しい。小溝さんと同じように職を探している人間は沢山いるからねぇ。」


「そうですよね……。」


「うん。それでね、小溝さんの採用の事なんだけど、まぁうちも中途採用には今は消極的なんだが……今回は近藤君からのお願いだから、特別だな。」


そこまで聞いて、智明と菜穂の表情はパッと明るくなった。


「ハハッ、まぁ私もこの美人な奥さんの悲しむ顔は見たくないんでね、断ることはできないよ。だから小溝さん、とりあえず契約社員での採用という事でどうだね?」


しかし〝契約社員〟という言葉を聞いて、一瞬智明の顔が曇る。

本採用してくれるって話じゃなかったのか。


「契約……社員ですか?」


「ハハッ、まぁ悪いように受け取らないで、本採用へ向けた契約だと思ってくれればいいよ。結婚して子供も2人いるならそれなりの給料じゃないと満足できないでしょう?だからこちらも小溝さんにはそれなりに良いポジションを用意したいんですよ。」


「はぁ。」


「良いポジションというのは、それだけ重要だという事だ。つまり、能力のない人間には勤まらない、分かりますよね?」


「はい。」


「だからこちらとしては、その契約期間の内に、小溝さんがそのポジションに見合った仕事ができるかどうか、見極めたいんですよ。言い方は悪いかもしれないが、我々はハズレくじは引きたくないんでね。アタリである事を確認してからじゃないと本採用はできない。……それでは不満かい?」


「い、いえ!そんな事はありません。」


「悪いねぇ試すような事をして。その人がどれだけ仕事ができるかっていうのは、履歴書や面接だけではどうしても知る事ができないからね。即戦力になってもらいたい中途採用の場合は特に慎重になるんですよ。もちろん私は、小溝さんには期待しているんですよ。」


「はい、ありがとうございます。ご期待に応えられるように全力で頑張りたいと思います。」


「ハハッ、そうかそうか。よし、じゃあこの話はこれで終わりだな。ささ、奥さん、デザートを召し上がってください。ここはデザートも美味しくてね、特に私はこのアイスクリームが大好きなんですよ。溶けない内に、さぁ。」


「は、はい、頂きます。」




帰りのタクシーの中で、智明と菜穂は溜め息をついていた。

それは天野の相手をするのに気疲れしたのと、契約社員とはいえ、とりあえず採用して貰えたことへのホッとした安心感から漏れた溜め息だった。


「悪かったな菜穂、なんだか気苦労させてしまって。」


「ううん、あれくらいどうって事ないわ。それより良かったね、決まって。」


「ああ、とりあえずな。あとは俺の頑張り次第だな。」


「私もできる事があれば何でも協力するから、一緒に頑張ろうね。」


「うん、ありがとう菜穂。」


ようやく見えて来た未来に、久しぶりに夫婦に笑顔が戻った。

しかしまだ2人は知らない。

この先の未来に、さらに過酷な現実が待っている事を。





「どうでした?天野さん。」


「いやぁよくやってくれたよ近藤君。へへ、あれは今までにない程の上物だ。」


智明と菜穂が去った後、2人はタバコを吸いながらニヤニヤと不敵な笑みを浮かべていた。


「当たりかハズレかを見極める期間など必要ない。あれ程の女が喰えるなら、すでに当たりクジを引いたも同然だな、ハハハッ!」


「気に入っていただけてなによりです。」


「それが君の仕事だからな、今回はよくやってくれた。それより近藤君、俺はもう今から待ちきれないよ。さっさとあの美味しそうな人妻を味見させてくれ。」


「はい、承知しました。すぐに準備しますので。」

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[ 2014/04/22 ] TB(0) | CM(0)

官能小説 喰われる人妻 菜穂(4)

「フフッ、よしっ、しっかり味染みてる。」


キッチンで煮物の味見をしていた菜穂は上機嫌だった。

今日作った筑前煮は、夫である智明の大好物だ。


「子供達には先に食べさせて、私は智明と一緒に食べようかな。」


新しい会社に働きに出だしてからというもの、智明の表情は生き生きしているように見えた。

相変わらず多忙である事には変わりはなかったが、先が見えなかったここ2年程の状況とはやはり違う。

契約社員とは言え、明確な目標を持って働く事に、智明は喜びを感じているのだろう。

そして智明が元気になってくれた事は、当然菜穂にとっても嬉しい事だった。

安定した生活とか収入とか、そういう心配はもちろんしてきたけれど、何よりも智明が元気でいてくれる事が、菜穂にとっては大切な事だったのだ。


仕事に関しても、智明は手応えを感じていると充実した顔で菜穂に話してくれた。

やる事は多いけど、新しい環境には慣れてきたし、やり甲斐のある仕事だよと。

あとは本採用が決まってくれさえすれば万々歳だ。

どうかこのまま採用して貰えますようにと、菜穂は毎日のように祈っていた。



♪~……♪~……


子供達を寝かせた菜穂が1人で智明の帰りを待っていると、リビングにある電話の呼び出し音が鳴った。


「はい、小溝でございます。あっ近藤さん……」


電話を掛けてきたのは近藤だった。


「小溝はまだ帰って来てない?」


「はい、もうすぐ帰るってさっきメールはあったんですけど。どうしましょう、折り返し連絡するように伝えましょうか?それとも急用でしたら……」


「いや、いいんだよ。今回は小溝じゃなくて菜穂ちゃんにお願いしたい事があってね。」


「私に……ですか?」


「うん。まぁその前に、どう?菜穂ちゃんは最近元気にしてる?」


「ぇ、あ、はい、お陰様まで。あの、智明の仕事の事で色々と動いていただいて、近藤さんにはもう、なんとお礼を言ったらいいか……本当にありがとうございます。」


「ハハッ、そんな堅い言い方しなくてもいいのに。小溝と俺は同期で長い付き合いだし、それにほら……菜穂ちゃんと俺は良い友達だろ?困った時はお互い様さ。」


「近藤さん……」


「俺も2人の力になれたなら嬉しいよ。」


「ありがとうございます、本当に。」


かつてお付き合いを断ってしまった相手であるにも関わらず、自分達家族のために協力してくれた近藤に、菜穂は心から感謝していた。

今回の件で、菜穂の中の近藤のイメージは大きく変わりつつあった。


智明と知り合う前、菜穂と近藤は付き合う寸前の関係にまでなっていた。

当時容姿端麗な近藤に、若かった菜穂は男性的な魅力を十分に感じていた。

何回か2人で食事に行った事もあったし、このまま近藤さんと付き合ってもいいかもとさえ思っていたのだ。

しかし、ある日2人でとあるバーでお酒を飲んだ後の事だ。近藤は酔った菜穂をホテルに連れ込もうとしたのだ。まだ付き合ってもいないのに。

もちろん大人の男女が2人でお酒を飲めば、そういう流れになるのはあり得る事だ。

だが近藤は強引だった。

菜穂は乗り気ではなく「今日はもう帰らないと」と伝えたにも関わらず、近藤は手を引っ張るようしてホテルの中に連れ込んだ。

そんな近藤の事が菜穂は急に怖くなって、近藤がシャワーを浴びている間にホテルから逃げ出したのだ。

後日近藤は謝ってきたが、その時には菜穂の気持ちは完全に冷めきってしまっていた。

そしてその後近藤には告白されたものの、その時の印象が強く残ってしまっていて、結局菜穂はお付き合いを断ったのだ。

その時、近藤には「どうしてなんだ!?どうして俺じゃ駄目なんだ!?」と強い口調で言われたのを覚えている。

だから正直菜穂は、智明と結婚した自分の事を、近藤は快く思っていないのではないかと考えていた。

しかしそれは自分の思い違いだったみたいだと、菜穂は今感じていた。

過去に恋愛関係では色々あったけれど、智明と近藤さんは良き友達であり、本当は近藤さんは優しくて良い人なんだと。


「それでね菜穂ちゃん、そのお願いなんだけど、実は今度うちの会社で社員旅行があるんだけどさ、それに菜穂ちゃんも参加してほしいんだよね。」


「社員旅行……?」


「うん、うち社員旅行は毎年やってるんだけど、社員の家族も自由に参加していい事になってるんだよ。」


「自由参加、ですか。」


「そ、自由参加なんだけど、実は天野さんが菜穂ちゃんにもぜひ来てほしいって言ってるんだよ。」


「天野部長がですか……?」


「うん。いやね、他にも社内のお偉いさんが沢山来るし、まだ契約社員の小溝はその人たちに夫婦で仲の良い所を見せておいた方がいいんじゃないかって天野さんが。その方が本採用もスムーズに行くだろうって。」


「そ、そうなんですか。」


「まぁ印象の問題なんだけどね。実はお偉いさんの中にはこれ以上中途採用で社員を増やすことをあまり良く思っていない人もいてね。最近は人事部だけで決めれない事も多くなってきてるからさ。分かるでしょ?」


「は、はい。」


「だからぜひ参加してほしいんだよ。」


「分かりました。では智明と一度話してみます。」


「うん、前向きに検討しておいてね。っていうか絶対来た方がいいよ。智明のためにもね。」


「そうですよね、分かりました。近藤さん、ありがとうございます、色々と助言して頂いて。」


「ハハッ、気にしなくていいよ。俺も智明には上手くいってほしいからさ。じゃあ頼むね。」

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[ 2014/04/23 ] TB(0) | CM(0)

官能小説 喰われる人妻 菜穂(5)

結局、社員旅行は菜穂も参加する事になった。

あの天野部長と近藤に来て欲しいと言われたのだから、立場上断れる訳がない。


「悪いな、また色々と付き合わせることになっちゃって。」


「ううん。私、智明の仕事の事で何か協力できることがあったら何でもしたいと思ってるし。その方が夫婦二人三脚って感じで良いじゃない?」


「二人三脚か、そうだな。でもあんまり無理させたくないんだよ。菜穂には普段家事とか子供の事とか全部やってもらっているんだから。」


「大丈夫よ。一泊旅行くらいなら子供達は実家に預ける事できるしね。それに社員旅行なんてOL時代以来だし、私出産してからはずっと家にいたから、良い気晴らしにもなるかも。」


菜穂そう言って申し訳なさそうにする智明に笑顔を向けていた。




そしてそれから1ヶ月後、社員旅行当日がやってきた。

近藤が幹事を務める今回の旅行の行き先はとある温泉旅館だった。

移動は3台のバスで。

しかしその日の朝、菜穂は集合場所である事に気付いた。

近藤は社員の家族は自由参加だと言っていたが、周りを見渡しても他の社員で家族を連れ来ているような人は誰もいなかったのだ。

自由参加であるから仕方のない事なのかもしれないが、なんとなく菜穂が想像していた雰囲気とは違っていた。もっと家族連れの人が多くて賑やかな感じの旅行なのかと思っていた。

それに、これも仕方のない事なのだろうが、菜穂以外の女性が殆どいない。

元々女性社員は少ないとは聞いていたが、本当に少ない。菜穂の目で確認できたのは若い女性社員が2人だけ。あとは全員男だ。

だからどうという事でもないのだが、やはりこの社員旅行は、菜穂にとってはあまり居心地の良いものではないようだった。

もちろん、そういう事は覚悟の上だった。

直樹の本採用のためなのだから、今回は旅行を楽しむつもりなんてない。

旅行と言うより接待だと思っていればいいのだと、菜穂は自分に言い聞かせていた。



「やぁ奥さん!来てくれたんですね、嬉しいですよ。」


「あ、天野部長、おはようございます!」


天野に声を掛けられた菜穂は、智明と共にすぐに頭を下げて挨拶をした。


「まぁそんな堅くならずに、旅行ですから、息抜きのつもりで楽しんでいってくださいよ。」


「あ、ありがとうございます。」


天野は実に機嫌良さそうにしていて、菜穂に終始笑顔を見せていた。


「おい近藤君、私と奥さんは同じバスなんだよな?」


「はい、そうです。」


「ハハッ、良かったよ。それなら道中も飽きることなく楽しめそうだ。」


旅行中、この部長の機嫌を損なわないようにするのが私の役目。しっかりやらなくちゃ。

菜穂は天野に笑顔を返しながら改めてそう決心した。



出発時間になり、社員が次々とバスに乗り込んでいく中で、そこでも菜穂は天野に声を掛けられた。


「奥さん、私の隣の席が空いているんだが、どうだね?」


「え?あ、はい!ぜひ。」


「ハハッ、悪いねぇ無理強いをさせてしまったみたいで。社員は皆、私の隣には座りたがらなくてねぇ。いつも寂しい思いをしていたんだよ。」


「いえ、そんな。」


そう言って菜穂がチラっと智明の顔を確認すると、智明は少し心配そうな表情でこちらを見ていた。

でもだからと言って智明が口出ししてくる事はない。

これを断って、天野部長の機嫌が悪くなってしまっては元も子もないのだから。

結局バスの中で菜穂は天野部長と共に前方の席へ、智明は一番後ろの席へと誘導され、座った。


移動中、天野は会社の話やゴルフの話、どうでもいいような自慢話などを隣にいる菜穂に話し続けていた。

そして菜穂は笑顔を作りながら、ずっとその話に付き合っていた。

「そうなんですかぁ!凄いですねぇ!」と返したりして、あまりわざとらしくならないように気を付けながら。

しかし出発してからしばらくすると、調子に乗り始めた天野は、またもセクハラまがいな事を菜穂に聞き始めた。


「ところで奥さんは今何か香水でも付けているのかな?」


「え、香水ですか?いえ、特には。」


「ほぉ、じゃあこれはシャンプーの匂いかな?さっきから奥さんの方から凄く良い匂いがするんで気になってね。」


そう言って、菜穂の髪の毛に鼻を近づけてクンクンと匂いを嗅ぐ天野。

恋人でもない男にこんな変態チックな事をされたら、誰だって不快に感じるはず。

だが、今の菜穂はこの程度の事には怒ってはいられないのだ。

匂いだけではなく、ついには「それにしても奥さんは綺麗な髪をしていますねぇ」と言いながら髪を直接手で触ってきた天野に対しても、菜穂は嫌がる素振りを全く見せなずに我慢していた。

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[ 2014/04/24 ] TB(0) | CM(0)