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女子大生 水野果歩(197)


富田 「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


果歩 「ぅぅ・・・ぅ・・・」


男の荒い息遣いと、女のすすり泣く声。


古くて狭いアパート、窓から差し込むオレンジ色の夕日の光。

外からは電車の走る音や、帰宅途中の学生達の声が微かに聞こえる。

ごく日常的な穏やかな世界。



富田 「ハァ・・・ハァ・・・・」


動きを止めた富田は今、感じ取っていた。

ベッドの上で女を襲う自分が、この世界の中で1人だけ場違いな存在である事に。



果歩 「ぅぅ・・・ぅぅ・・・」


肉棒の先端が当てられた果歩の秘部は、乾いていた。

果歩の身体は富田のそれに、全く反応していなかったのだ。


涙を流す果歩の上で、富田は動きを止めたまま、額に脂汗を掻きながらただ息を荒くしている。

そして男根は次第に力を失っていくようにして萎えていく。


富田 「ハァ・・ハァ・・・クソッ!・・・ハァ・・・ハァ・・・」


果歩を組み伏せたまま片手で頭を抱え、部屋を見渡す富田。

その顔は全く余裕の無い苦痛に満ちた表情だった。


富田 「ハァ・・・ハァ・・・」


狭いが綺麗にされた生活感のある部屋。

柔らかで優しい部屋の香り。

多くの家庭と同じように、夕方のこの時間、この部屋には穏やかな空気が流れていた。

そう、まるで富田が幼い頃に母・智恵と過ごしていたあの家、あの時と同じ空気がこの部屋には流れていたのだ。



ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・



富田の頭の中に蘇る幼き頃のあの記憶。

台所に立ち、晩御飯の仕度をする母親の後姿、母親に抱き締められるあの温かな感覚・・・。


富田 「・・・ぅ・・・くっ・・・」


そんな記憶を振り払おうと、富田は必死に頭を横に振る。


富田 「どうして・・・ハァ・・・クソッ!ハァ・・・ぅ・・・」


しかし、その記憶は決して振り払う事はできない。



・・・・・・



〝なぁに?また幼稚園でイジメられちゃったの?〟


〝もう、仕方ないわねぇ康介は・・・泣き虫なんだから・・・男の子がそれくらいで泣いてちゃダメよ。〟


〝仕方ないわね康介は・・・甘えん坊さんなんだから。〟






富田 「ハァ・・・ぅ・・・ハァ・・・・」



無意識の内に富田がずっと心の奥深くで探し求め続けてしまっていた安らげる場所が、この部屋にはあった。

しかし富田には、自分が今この安らげる場所にいる事が、とても不自然に思える。

まるで別世界だ。

そう・・・別世界。

果歩も、記憶の中の母親も、この穏やかな空気も、安心できる香りも、全て今の富田には交わる事のできない世界に感じる。

そしてそれに気付いた時、富田は途轍もない孤独を感じたのだ。




富田 「ハァ・・・ハァ・・・」


果歩 「ぅぅ・・・ぅぅ・・・」


服を引き裂かれ、富田の下で涙を流す果歩が、口を開く。


果歩 「ぅぅ・・・ごめんなさい・・・ぅ・・・ごめんなさい・・・」


果歩が言ったその言葉、それがさらに富田にあの時の記憶を蘇えさせる。




〝ああ・・・ごめん康介・・・許して・・・ぅぅ・・・許してぇ・・・ぅぅ・・・〟


〝ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・ぅぅ・・〟




母・智恵が富田に言った最後の言葉。

智恵はずっと涙を流し謝り続けていた。

そして、智恵は富田の前から去っていった。




富田 「・・・・・・お母さん・・・あぁぁ・・・お母さん・・・」


果歩 「ぇ・・・?」


富田の声に思わず閉じていた目を開き、富田の顔を見る果歩。

その時、富田の目には涙が滲んでた。


果歩 「・・・・富田さん・・・」


富田 「ああ・・・ハァ・・・ハァ・・・ぅ・・・」



ゆっくりと果歩の身体から離れる富田。

苦しそうに両手で頭を押さえ、足元はフラついている。


富田 「ハァ・・・ハッ・・・ハァ・・・俺は・・・俺は・・・ああ・・・」



果歩 「・・・富田さん・・・」



何かに苦しめられる弱々しい富田の姿を、果歩は悲しそうな表情でじっと見つめていた。


富田 「ああ・・・なんでだよ・・・お母さん・・・ハァ・・・あああ・・・」


そんな事を呟きながら、富田は覚束無いような足取りで部屋を出て行った。





・・・・・・





静まりかえった部屋。




果歩 「・・・・・。」



富田が居なくなった後も、果歩は服を引き裂かれた状態のままベッドの上に座っていた。

静かになった部屋で、ただ呆然と床の一点を見つめて・・・。

そしてしばらくした後、果歩は再びポロポロと大粒の涙を流していた。



孤独に苦しみ、悲しみ、もがき続けていた富田。

これが、果歩の人生で最後に見た富田の姿だった。



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[ 2013/11/30 ] TB(0) | CM(5)

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[ 2011/03/25 00:08 ] [ 編集 ]

nonaさん

初めしてこんにちは。
コメントありがとうございます。

富田さんが最後果歩を無理やり犯さなかったのは、昔母親と暮らしていた時と同じような、幸せで穏やかな世界を壊す事に抵抗を感じたからだと思います。

今回の物語で一番可哀相なのは富田さんかもしれませんね。


そして、その物語も今日完結しました。ありがとうございました。

また新作も楽しんで頂けるように更新頑張ります!
[ 2011/03/24 23:18 ] [ 編集 ]

京香さん

富田さんの最後は兎に角弱かったですね。
結局富田さんが無意識の内にずっと追いかけていたのは母親で、母親を重ねる相手にも不器用な愛情表現しかできなかった。
サディストとはかけ離れてしまいましたね。

男はなるべくなら自分の弱い部分なんて誰にも見せたくないんだけど、本気の相手だと弱さを見せてしまう事があるんですよね。個人的にお互いの弱い所を認め合う事ができないと男女関係は難しいのかなぁとも思います。

ただサディストはそういうのやっぱり隠したがるんですね。

富田さんはまたいつか、きっと何処かの物語で出てくる…かも?(笑)

[ 2011/03/24 23:06 ] [ 編集 ]

No title

初めまして。今回初めてコメントさせていただきます。

乾いた内部に構わず彼女を犯す、というような非道なことをしなかった富田さん。
なんとも切ないです。
彼にはまだ、救われる最後のチャンスがあっていいのではないか、と思いました。

次の更新も楽しみにしています。
[ 2011/03/24 01:49 ] [ 編集 ]

No title

もっといい形で二人の終わりを迎えてほしかったなぁと思います…。
でも、友哉君の存在で、やっと果歩ちゃんを縛っていた心が解放されたから良かったです♪

そうですねぇ…富田さん、サディストとしては不合格です。
ていうか、何度か言ってますが…サディストあるまじき行為ですよw
【勘違いの、なんちゃってS】とM女さんから捨てられます・笑。

サディストだからこそ、相手に依存していても去るもの追わず…スッと身を引きます。
それが身を引きちぎられる想いでも、誰にも見せません…ていうか、見せられない。

傍にいて、それが透けて見えていても、全否定しますからね( ̄∀ ̄;)

なので…富田さんの名誉?挽回の意味でも…別物語で成長した富田さんが見たいですね♪
[ 2011/03/24 00:29 ] [ 編集 ]

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