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人妻 吉井香苗(61)

洗濯機に汚れたシーツを放り込む。

少し多めの洗剤と香り付きの柔軟剤。しっかり洗えばこの臭いも染みも取れるはず。


香苗 「……はぁ……」


香苗の口からため息が漏れる。

それは深い悩みから出た深いため息。




昼近くに目を覚ました時には中嶋の姿はなかった。

寝起きで意識がボーっとしている間は、あれは夢だったのかと思っていた香苗。

しかし、なんとなく顔に違和感を感じて自分の手で顔を触ると、指にベットリと付いたドロっとした液体。

黄ばんでいる半分ゼリー状のようなその液体は強烈な臭いを放っていた。


香苗 「……ぅ……これ……」


ベッドから起き上がってさらに確認すると、それは顔中に、そして髪の毛や身体にも付着していて、所々カピカピに乾燥していた。

全裸姿の自分、この臭いを放つ液体、シーツに広がる大きな染み。

徐々に香苗の頭の中に昨夜の記憶が蘇ってくる。



香苗 『ハァッアッアッ……ハァ……ン……中嶋さん……ンッンッ……!!』



中嶋に抱かれ、中嶋の名前を口にしながら喘ぐ自分。

性的快感への欲求は一晩中収まる事はなかった。

最初は中嶋の方から一方的だった行為も、途中からは香苗の方が積極的に求めるようになっていた。

自分から腰を激しく振りたくり、キスをする時も自分から舌を動かし中嶋の舌に絡めた。


香苗 「……私……」


記憶がはっきりとした物になっていくにつれ、香苗の表情は青ざめていく。

手に付着してるのは、中嶋の精液だ。


……私……中島さんと……


そう、香苗は中嶋とSEXをしたのだ。この寝室で。

夫・祐二と使っているこの寝室、このベッドの上で。

祐二以外の男性と身体の関係を持ってしまったのだ。


……私……わたし……イヤッ……!


その記憶を思い出した瞬間、香苗は裸のまま急いで浴室に向かった。

熱いシャワーとシャンプーで髪の毛や顔、身体に付いた汚れと臭いを洗う。

ゴシゴシと力を入れて、神経質なまでに。汚れだけではない、他の物を洗い流すかのように。

しかしいくら身体の汚れを取っても、昨夜の記憶と自分が犯してしまった罪を洗い流す事はできなかった。


香苗 「ハァ……ハァ……ぅぅ……」


香苗はシャワーを浴びながら、泣いていた。

なんて事をしてしまったのだろうと、自分を責めていたのだ。


あれは浮気なのだろうか。きっと浮気なのだろう。

自分がまさか浮気などという罪を犯してしまうなんて思ってもみなかった。

それは第三者から見てもきっとそうだろう。

家族や友人、普段の香苗を知っている者ならば、誰もがまさか香苗が夫を裏切り、浮気をしてしまうなんて思っていない。

真面目な両親の元で大切に育てられた娘である。

そんな事をするなんて、香苗自身も含めて概念としてなかったのだ。


……どうしてあんな事に……


迫ってくる中嶋を、全く拒否する事ができなかった。

それは怖かったから?

違う、あれはレ イプなんかじゃなかった。

中嶋から逃げられなかったのではない、香苗は逃げようとしなかったのだ。

女としての危機感は感じた。祐二の顔も思い浮かんだ。

しかし、香苗の中の別の感情がそうさせなかったのだ。

危ない領域に少しだけ足を踏み入れてみたいという好奇心。

身体の奥から溢れ出てきた尋常ではない程の性欲。

止める事ができなった。

そして気付いた時には快楽の世界に溺れていた。




香苗 「……。」


動き出した洗濯機をボーっと見つめている香苗。

浴室から出て綺麗な下着と服に着替えてから再び寝室に戻った時に感じた、男と女の濃厚な匂い。

この匂いを残しておくわけにはいかない。

窓を開けて換気をし、布団のシーツを洗い、少し強めの芳香剤を撒いた。

それはもちろん、今出張で不在の夫に気付かれたくないから。

人生で初めてかもしれない、こんなにも自分がしている事に後ろめたい気持ちを感じるのは。


香苗 「……はぁ……」


また深いため息。

しかし後ろめたい気持ちがある一方で、やはりあの記憶は香苗の頭の中から消えてはくれない。

寧ろ、何度も思い出してしまう。あの快感を。

中嶋のモノが自分の身体の中に入ってくるあの感覚を。

違い過ぎた。

違い過ぎたのだ。

あれが本当のSEX……。

知らなかった。いや、祐二との夫婦生活では知るはずのなかった女として悦び。

その記憶は香苗の頭に、身体に、消す事ができない程深く刻み込まれてしまったのだ。




香苗 「……。」


動く洗濯機の前に立っている香苗の手には、一枚の布切れが握られている。

それは白い枕カバーだった。

汚れた下着も布団のシーツも洗ったのに、香苗はその枕カバーだけ洗濯機に入れなかったのだ。

枕カバーを両手で広げて、そのある一点を見つめる香苗。

そこには黄ばんだ染みが付いていた。

中嶋の精液が付着して乾燥した部分だ。


香苗 「……ゴクッ……」


そこを見ながら喉を動かして生唾を飲み込む。

そして香苗は、その黄ばんだ染みにゆっくりと鼻を近づけ、肺一杯に空気を吸い込むようにしてその匂いを嗅いだ。


香苗 「はぁぁ……」


脳まで刺激されるような濃い匂いが、香苗の身体を熱くさせていた。




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お待たせしてすみませんでした。久しぶりの更新です。

そしてコメントをくれた読者の皆様、本当にありがとうございます。時間は少し掛かりそうですが、お1人ずつ返信書かせて頂きます。
[ 2014/01/02 ] TB(0) | CM(5)

とめさん

一応こちらにも返答書いておきます。


コメントありがとうございます。

洗濯のシーンは、実は【Mr.Children】の〝こんな風にひどく蒸し暑い日 〟って曲をヒントにして物語の中に組み込んでみたんです。

何年か前にこの曲を聞いた時から、『流れ出したモノでシーツが濡れてしまって 君はゴミでも捨てるように洗濯機に入れた』という歌詞が僕の中で凄く印象に残っていて、官能小説をこの曲をイメージして書いてみたいなぁとずっと思っていました。
今回はそれを部分的に書いてみたって感じですかね。

僕の小説はまだまだ文章的に未熟な部分がかなりあるので、下手なりにも連載を続けて、その中で成長できたらと思ってます。

でもやっぱり小説を書くのは楽しいです。

僕の場合、PIPI's World 『投稿小説』 というサイトに携帯でポチポチ書いた小説を投稿したのが最初でした。なんとなくやった事だったのですが、それが切っ掛けで今のブログも始める事になったので、投稿して良かったなぁと思ってます。

これからも応援してくれてる方の言葉を支えに、更新頑張っていきたいと思います。
[ 2011/08/03 01:55 ] [ 編集 ]

ほたるさん

コメントありがとうございます。

ファンだなんて…嬉しいです(笑)

そうですねぇ、できないのに余計な事を言い過ぎたなぁと反省してます。
有言不実行は普通に社会の中でもタブーですもんね、今回の件でまたそれを勉強させられました。

これからは無理な事は言わずに、コツコツできる範囲で努力していきたいと思います。

丁寧なアドバイスと優しいお気遣いありがとうございました。これからも更新頑張ります☆
[ 2011/08/03 01:21 ] [ 編集 ]

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[ 2011/08/02 23:28 ] [ 編集 ]

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[ 2011/08/02 16:20 ] [ 編集 ]

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[ 2011/08/02 09:18 ] [ 編集 ]

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