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家庭教師 小森千佳(3)

千佳 「えーっと……たぶんこの辺りだと思うんだけどなぁ。」


住所と地図が書かれたメモを見ながら、住宅街の中を歩く千佳。

今日は尚子に頼まれて引き受けた家庭教師のアルバイト、その初日だ。


千佳 「はぁ……やっぱり引き受けるんじゃなかったなぁ……家庭教師なんて……。」


カフェで尚子と話してから2週間程過ぎているが、千佳は正直な所、今でもこの話を引き受けた事を後悔している。

どう考えても家庭教師なんて自分には向いていない。

それにこの緊張感、やはり苦手だ。


千佳 「あ~もう、なんだかドキドキしてきた……どんな家なのかなぁ、もしかして厳しい所だったりして。……でもそうよね、子供のために家庭教師を付けるような親なんて、教育に厳しい人だよね、絶対。はぁ……やだなぁ……。」


そんな風に独り言をブツブツと言いながら歩く千佳だったが、根は真面目な性格であるので、今日のための準備だけはしっかりやってきた。

手に持っている鞄には、自分が受験生の時にまとめていたノートや、一週間程前から作り続けてきたプリントなどが入っている。

自分が教える高校生の子のためにと、問題集やポイントなどを分かりやすくプリントに書いておいたのだ。

それだけではなく、自分も受験生の時の感覚を取り戻すべく、連日徹夜で高校生時代の勉強を復習していた。

一応家庭教師なのだから、何か質問されて答えられないようではいけないと思ったからだ。


千佳 「ん~……え……?ここ?もしかしてこの家なの?」


メモに書いてある通りの場所に着いた千佳は、大きな門の前で足を止める。

そして千佳は目の前に佇む家を見上げて、口をポカーンと開けていた。


千佳 「凄い……大きい家……うそぉ……私こんな家の家庭教師しないといけないのぉ……はぁ……」


表札に目を向けると、そこにはやはり尚子に渡された書類に書かれていたとおりの苗字がある。


千佳 「……富田……やっぱりここなんだ……。」


目の前の重厚な門を見るだけでも、この家が普通の家ではないという事は誰にでもすぐに分かる。

きっとどこかのお偉いさんの家なのだろうと、千佳は思った。

それならば、そんな家の子供に勉強を教えるなんて余計にプレッシャーを感じるし、考えれば考える程自分ではやはり無理だと思ってしまう。


千佳 「……はぁ……帰りたい……帰りたいけど……そういう訳にもいかないかぁ……」


もう来年からは社会人になる千佳。

お腹が痛くなる程のプレッシャーは感じるが、この程度の事でヘコたれている訳にもいかない。

もう大人なんだから。

そんな事を自分の心に言い聞かせ、千佳は重い足どりはであるが、門の端にある呼び出しボタンの前まで来ると、意を決したようにしてボタンを押した。


千佳 「……。」


『……はい、どちら様でしょうか?』


千佳 「あっあの……小森と言います。あの……家庭教師の……」


インターホンから女性の声が聞こえると、千佳は緊張気味にそう声を発した。


『あ、はい、お待ちしておりました。今門を開けますので。』


千佳 「は、はい。」


そう答えてから少し待っていると、機械式の門のロックがガチャン!と音を立てて解除された。

そしてゆっくりと開いた門から、1人の女性が出てきた。
結構年配の女性だ。それにエプロンをしている。

お手伝いさんかなぁと千佳は思いながら、その女性にあいさつをする。


千佳 「初めまして、小森千佳と言います。宜しくお願いします。」


山田 「私はここの家政婦をやっている山田です。どうぞ中へ。」


千佳 「はい。」


千佳の予想は当たっていた。この年配の女性が高校生の子を持つ親には見えない。

家政婦の案内で敷地内に入ると、そこには広い庭と大きくて立派な建物が。千佳はその光景にやはり目を丸くして驚くばかりであった。


千佳 「……凄い……」


まるで美術館の中を歩いている子供のようにキョロキョロと頭を動かしながら、周りを見渡す千佳。

そんな千佳の前を歩いている家政婦の女性は、淡々とした口調で千佳に声を掛ける。


山田 「康介さんの部屋は離れの部屋になっていますので、こちらです。」


千佳 「え?康介さんって?」


山田 「えぇ、これから小森さんに家庭教師を担当して頂くこの富田家の長男、富田康介さんですよ。」


その言葉を聞いて、千佳は思わず慌てるようにして声を出した。


千佳 「えっ?えっ?あ、あの!富田さん家の子供さんて、高校生の女の子じゃないんですか!?」


千佳が慌てるのも無理はない。千佳は尚子にこの話を聞いてから、受け持つ生徒はずっと女子高校生だと思い込んできたのだから。


山田 「何を仰いますか、富田家に女のお子さんはいませんよ。ご存じなかったのですか?」


千佳 「え……あ、私はてっきり……」


山田 「男のお子さんだと、何か不都合でもあります?」


千佳 「い、いえ……そんな事は……」


千佳は咄嗟にそう答えたが、本当はそんな事あるのだ。千佳にとって不都合な事が。

しかしそうこういている内に、2人はその離れの建物の前に着いてしまった。

離れといっても、一見普通の一軒家に見える。いや、寧ろ世間一般の家よりも立派かもしれない。

そんな物が、大きな庭の中に子供用の部屋として建っているのだからやはり普通ではない。


山田 「ここが康介さんのお部屋です。中で康介さんが待っていますので、後は宜しくお願いしますね。では私はこれで。」


家政婦は無表情でそう千佳に言うと、すぐに千佳の前から去ってしまった。


千佳 「え?でも、あの…やっぱり……はぁ……行っちゃった。」


千佳の小さな声には反応せず、大きな建物に入っていってしまった家政婦。

そしてその場に残されて、1人離れの家の前で立ち竦む千佳。

予想外の展開に、千佳の頭は少しパニック状態に陥っていた。


……男の子なんて聞いてないよぉ尚子ちゃん……



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[ 2013/12/10 ] TB(0) | CM(7)

とめさん

とめさんコメントありがとうございます。


富田さんの新しい物語、楽しんでもらえるように頑張りたいと思います。

そうですね、香苗の方もぼちぼち更新していきたいと思います。
やっぱりアンケート見てもそうですが、人妻モノは人気あるみたいですしね。




[ 2011/08/27 21:32 ] [ 編集 ]

京香さん

京香さん返事ありがとうございます。

そうですねぇ高校生の富田さんですからねぇ、高校生は力を持て余してますからねぇ。凄い事になっちゃうかも(笑)

ストーリー自体はありふれた設定だと思うのですが、その中でもしっかり興奮できるような文章を書けるように頑張ります。
[ 2011/08/27 21:29 ] [ 編集 ]

りりさん

りりさんコメントありがとうございます。

はい、富田さん再登場です(笑)

富田さんの学生時代の物語です。高校生ですからねぇ……高校生の男子は凄いですから(笑)

楽しんでもらるように頑張りたいと思います。
[ 2011/08/27 21:25 ] [ 編集 ]

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[ 2011/08/27 15:17 ] [ 編集 ]

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[ 2011/08/26 10:43 ] [ 編集 ]

No title

まさか富田さんが出てくるとは…
高校生の頃の富田さん、どんな感じなんでしょう?笑。

序章の最後で何となく先読みできちゃいますが…^^;
更新楽しみにしてますね♪

コメント返事↓

いえいえ、こちらこそいきなりすみません。
でも理解してもらった上で書いてほしい気持ちが強かったので…。
[ 2011/08/26 00:44 ] [ 編集 ]

あらまぁ…

富田さん、お久しぶりです(笑)

過去の被害者のお話しなのですね!

今回も楽しみにしております
[ 2011/08/26 00:20 ] [ 編集 ]

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