夜明けの5時、朝日はまだ顔を出していないけれど、空は段々と明るくなり始めていた。
ポツポツと小雨が降る、しっとりとした朝。
殆どの人はまだ眠っているだろう、そんな時間帯に、千佳は1人で街を歩いていた。
白のワンピースだけを身に着けて、雨に濡れる事を気にする事もなく、アスファルトに描かれる白線を虚ろな目で見つめながら。
男達からやっと解放されたのは1時間前。
千佳はシャワーを浴びてから、すぐに逃げるようにして富田家から出てきた。
今歩いているこの街は、現実世界のものだと認識できる。
けれどあの部屋で過ごした記憶が、現実の物なのか、夢の中の物なのか、千佳には分からなくなっていた。
息を吸うと感じる、朝の澄んだ空気と匂い。
しかし目を閉じると、途端に蘇ってくる。
あの男達のザーメンの臭いが。
まるでその臭いが、記憶として脳みそにこびり付いているようだった。
頭の中からドロドロとしたザーメンが下へ、鼻の喉の奥の方へと流れてくる。
そして口の中から肺臓までもが、その臭いで充満するのだ。
自分の吐く息までもが、男達の精液の臭いになっているのではないかと思うくらいに、それは濃厚なものだった。
千佳 「ぅ……ハァァ……」
思わず吐き気を感じてしまう千佳。
目を閉じる度に、その臭いと共に数時間前の記憶が戻ってくる。
目を閉じる度に、千佳はあの部屋へと引き戻されてしまう。
千佳 『もうダメもうダメェ!!ァァアアアッ!イッちゃう!またイッちゃう!アアッ!……ハァァアア……あああああ……ああ……ダメ……死ぬ…死んじゃ…ぅ……あああ……ああ……』
嫌!もうダメ!
そんな言葉をいくら言っても、男達は止まってはくれなかった。
5人の男達に、性器を使われ続けた。
優しさや愛情などは皆無のSEX。
男達は千佳の身体、ヴァギナの気持ち良さに顔を弛ませる。
しかし当然、SEXというのは男性器と女性器を擦り合わせるものだ。
分泌されるヌルヌルとした潤滑液に濡れたペニスによって、女である千佳にも快感は与えられる。
膣内を擦られる度に、広がる快感。
嫌なのに、嫌なのに、感じてしまう。
連続で何度も何度も快感絶頂の波にのみ込まれ、頭が真っ白になる。
そんな朦朧とする意識の中、千佳は無意識の内に自分から腰を激しく振り始めていた。
そして嫌だ嫌だとばかり言っていたはずの千佳の口からは、甘い喘ぎ声だけが出されるようになっていた。
結局は千佳も男達と共に快楽の世界に溺れたのだ。
精液や汗でベトベトになっても、千佳と男達は精力が尽きるまで腰を振り続けた。
電車には乗らず、人気の無い道を2時間程度歩き、千佳は自宅のアパートに帰ってきた。
そして部屋に入るなり、千佳はワンピースを脱いで全裸になった。
康介にプレゼントされたワンピース、それをグシャグシャに丸め床に捨てて、一糸纏わぬ姿でベッドの中に潜り込む。
千佳 「……ぅぅ……ぅ……」
何も無い世界に行きたかった。
何も感じない世界に行きたかった。
真っ暗な布団の中で身体を丸め、固く目を閉じ、両手で耳を塞ぐ。
しかし千佳の耳には聞えてくるのだ。聞えてきてしまうのだ。
『1人1万円ですよ。』
『アイツは、女を性処理機としか思ってない。もちろん千佳先生の事もね。』
『あーあと、富田から伝言があります。〝もう二度と来ないでくれ〟って』
『アナタは捨てられたんですよ、富田に』
それらの言葉が、千佳の頭の中で延々とリピート再生され続ける。
もう聞きたくない。もう考えたくない。
それでもその言葉は頭から離れてくれない。
……苦しい……苦しい……嫌だ……嫌だよ、もうこんなの……
そんな風にもがき苦しむ千佳の精神は、もう崩壊寸前であった。
……もうこの世界には苦しみしか残っていないんだ……
……もう……こんな苦しいのは嫌……
……楽になりたい……
苦しみに苦しみ抜いて、行き着いた千佳の考え。
……そうだ、楽になればいいんだよ……私……もう……
布団からボロボロになった顔をそっと出す千佳。
部屋の窓からは、オレンジ色に輝く綺麗な朝日の光が差し込んでいた。
それを見てゆっくりとベッドから出た千佳は、オレンジ色の光を全身で浴びる。
千佳 「……きれい……」
小さく口を開きそう呟いた千佳の頬には、その朝日に反射して同じようにオレンジ色に染まる涙が伝っていた。
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[ 2013/12/13 ]
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コメント・感想ありがとうござます。
不快な思いをさせてしまったという事で、本当に申し訳ありません。
小森千佳の物語に関しては、他の読者の方からもあまり良い評価を頂いておりません。
ですので、私としてはできれば今後、修正をできればしたいと思っています。
ただ気に入って頂いている読者の方もいらっしゃいますので、削除せずにしばらくはこのまま残しておこうと思います。
率直なご感想ありがとうございました。
正直よんで後悔しました。
乱交以降の話がつまらなすぎ。真剣に読む気が失せて、後半は飛ばし読みしました。
ただの鬼畜小説に成り果てがっかり。
前半の面白さがだいなし。
この作品を公開している事は作者様の質を
下げるだけなので削除したほうがいいかと…
それほど不快な作品でした。
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