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【寝取られ】喰われる彼女 亜紀(6)

俺のお腹は突然グルグルと鳴りだし、痛みだした。


「うっ……」


「どうしたの?」


「ちょ、ちょっとお腹が……」


「え、大丈夫?」


心配そうな顔をする亜紀。


「ハハ、大丈夫大丈夫。ちょっとトイレ行ってくるよ。」


そうだ、慌てる事はない。

俺は元々体質的にお腹が緩いんだ。

だからこういう腹の痛みには昔から慣れている。

トイレで出すもの出して、少しの間安静にしていればすぐに治るはずだ。

俺は席を外して急いでトイレへ向かった。


俺がトイレの中で腹の痛みと格闘していたのは20分間くらいだっただろうか。

まだ完全ではないけれど、痛みも少し和らいだので俺はトイレを出た。

あとは飛行機が島に着くまで席で静かにしていよう。

しかし席に戻ろうしたところで、嫌な光景が俺の視界に入ってきた。


「亜紀ちゃんは〇〇島行くの何回目?」


「私初めてなんですよ。だから楽しみで。」


牧原が亜紀と話してる。

しかも牧原は俺が座っていた亜紀の隣の席に座っているではないか。

何やってるんだ?俺の席に勝手に座るなよ。しかもいつの間にか亜紀の事を名前で呼んでやがる。


「牧原さんも初めてですか?」


「いや、俺はもう5,6回は来てるかなぁ。」


「えーそんなに、いいなぁ。じゃあ色々詳しいんですか?」


「うん、それなりにね。よかったら俺が良い所案内してあげようか?」


2人は随分と楽しそうに話していた。

亜紀は終始笑顔を牧原に向けている。

そうだよな。

話し掛けられたら誰に対しても笑顔で応える、それが亜紀なんだ。

そして俺は初めて会ったとき、その亜紀の笑顔に恋をしたんだ。


「どこか美味しいお店とかありますか?スイーツのお店とか。」


「スイーツかぁ、俺はあんまり甘い物はなぁ。」


「あ、そっか、男の人はあんまりそういうの食べないですよね。」


「そうだねぇ。あ~でも、そういえば美味しいパンケーキ屋なら知ってるよ。」


「わぁ本当ですかぁ!私パンケーキ大好きなんです!」


「俺甘い物苦手なんだけど、その店のだけは美味しくて完食しちゃったんだよね。友達も皆絶賛してたし。」


「え~いいなぁ。私も食べてみたいなぁ。」


「それなら俺達レンタカー借りる予定だからさ、良かったら連れてってあげるよ。直樹とも相談してみな。」


「え~いいんですかぁ?嬉しい!じゃあ直樹に聞いてみます!」


俺は少しイライラしながら席の方へ近づいていった。

亜紀、その笑顔を牧原なんかに向けないでくれ。

俺は明らかに亜紀と2人で楽しそうに話をする牧原に嫉妬していた。


「お?帰ってきた。大丈夫か?」


「大丈夫?」


席に戻ってきた俺に、2人が揃ってそう聞いてきた。


「もう大丈夫だよ、大したことないから。」


「そっか、良かったぁ。あ、そうだ、胃腸薬貰ってこようか?飛行機内で買えるって聞いたことあるし。」


「いや大丈夫だよ亜紀、もう治ったから。」


俺は亜紀にそう言いながら、牧原の顔を見た。

すると牧原はすぐに察したように俺に席を譲ってきた。


「おお、悪い悪い。今亜紀ちゃんと〇〇島の事話してたんだよ。」


「ねぇねぇ直樹、牧原さんがね、美味しいお店知ってるんだって、パンケーキのお店。」


「……へぇ。」


「俺達レンタカー借りてるからさ、直樹と亜紀ちゃんも乗せて連れて行ってやるよ。」


そんなのダメに決まってるだろ。

俺は亜紀と2人きりの時間を楽しむために来てるんだ。

牧原達なんかと遊ぶために来た訳じゃない。


「いやでも、俺達も予定があるから。」


俺は表情変えず、さらっとそう断った。


「予定って言っても全く時間がない訳じゃないだろ?空いてる時間があったら教えてくれよ。そしたら迎えに行くからさ。」


「いやでも、そんなの悪いよなんか。」


俺は言葉こそ丁寧にしていたが、明らかに嫌がっている雰囲気を出していた。


「ふーん……分かった。じゃあもし行きたくなったら連絡くれよな。すぐ迎えに行ってやるからさ。」


牧原は嫌がっている俺を感じ取ったのか気を遣うようにそう言ってきたが、その表情は明らかに不満そうだった。

横にいる亜紀も少し残念そうにしている。


「直樹、パンケーキ嫌いだっけ?」


「いや、別にそういう訳じゃないけど。」


実際、俺達はそれ程予定が詰まっている訳ではなかった。

旅立つ前も、空いてる時間は適当に散策でもしようかと言っていたくらいなのだから。

だから亜紀はどうして?という顔をしていた。

でもそれから少しして、亜紀は思い出したかのように俺の耳元で「ごめん」と謝ってきた。

そして「ふたりの記念日だもんね」と言って俺の手に手を重ねてきた。



[ 2014/01/03 ] TB(0) | CM(6)

【寝取られ】喰われる彼女 亜紀(7)

飛行機は無事に到着した。

牧原は到着した空港で俺達に(というより亜紀に)連絡先を渡してきた。


「暇になったらいつでも連絡してよ。あと何か困った事とかあったら。俺達ここはある程度慣れてるからさ。」


「ありがとうございます。」


「あ、そういえば2人はどこに泊まるの?場所だけ把握しておきたいからさ。」


「えっと、〇〇って所なんですけど。」


亜紀は聞かれたから答えただけだとは思うが、もちろん俺達は牧原達を呼ぶつもりは全くない。

予約してあるのはコテージタイプのホテル。

海に近い所にあるコテージで、そちらの方が大きなホテルに泊まるよりも南国気分を味わえるんじゃないかと思って亜紀と2人で決めたんだ。


「あ~知ってる知ってる!コテージがある所でしょ?じゃあ俺達が泊まるコテージと結構近いな。」


「牧原さん達もコテージなんですね。」


「俺達は〇〇って所。知ってる?」


「〇〇?あっ知ってます!でもネットで見ましたけどそこって凄い高級そうな所ですよね?わぁいいなぁ。」


「ハハッ、まぁ来たかったら遊びにおいでよ。亜紀ちゃんならいつでも歓迎するし。」


ふん、行くわけないだろう。

お前らとはもうここでお別れ。ここからは別行動だ。

牧原は最後まで亜紀にしつこく話し掛けていたが、俺達は空港で別れを告げた。



俺と亜紀は荷物を持ってとりあえず予約しておいたホテルへ向かった。

俺達が泊まるコテージは写真で見た物よりも少し古ぼけていたが、それでも海が見える立地は最高で、コテージからは南国らしい景色が広がっていた。


「キャー私達、ついに来ちゃったんだね!」


部屋にあるベッドに飛び込んではしゃぐ亜紀。

こんなに嬉しそうな亜紀は久しぶりに見たかもしれない。

俺はそんな亜紀を見ただけでも来てよかったなと思えた。


「海、すっごい青いね。私こんな綺麗な海初めてかも。」


「本当だ、綺麗だね。」


この日はもうすでに日が傾き始めていたが、まだ予約してあるディナーまでは時間があったため俺達は少し海の砂浜を歩くことにした。


「ねぇ直樹見て!砂がサラサラだよぉ!」


波打ち際で子供のようにはしゃぐ亜紀は、凄く可愛かった。

周りでは水着姿で海水浴を楽しんでいる人たちもいる。

明日は俺と亜紀も水着になって、この綺麗な海を思う存分満喫するんだ。

青い空、青い海、白い砂浜、その中で笑顔輝く亜紀の水着姿が早く見たいな。


2人で海辺を散策していると、直に夕方になって夕日の光が空や海を染め始めた。


「そろそろレストランに行こうか。」


「うん。どんな料理かなぁ、楽しみだね。」


俺達は初日から現地の雰囲気を楽しみたいと思い、ディナーはこの島の郷土料理のコースを予約していた。

ところがそのレストランに到着した頃から、俺の身体に再び異変が起き始めた。

どうやら飛行機内で起きた腹痛は、ただの腹痛ではなかったらしい。


「わぁ、美味しそう!こんなの初めてだね。」


「美味しい!直樹これ食べてみて、すっごい美味しいから!」


お店自慢の郷土料理が運ばれてきて、その物珍しさや美味しさに亜紀は感動しているようで楽しそうだった。


「どうしよう、美味しくて食べ過ぎちゃうよ。でもいいよね、明日は海で沢山遊ぶんだし、エネルギー沢山蓄えとかないとね!」


俺は最初、自分の身体の異変に気付きながらも、この楽しいディナーの雰囲気を壊したくないと思い、亜紀には黙って我慢していた。

もしかして亜紀の笑顔を見ている内に良くなるかもしれないと思ったから。


「直樹、どうしたの?あんまり進んでないみたいだけど、もしかして口に合わない?」


「いや、そんな事ないよ、美味しいよ。」


しかし時間が経つにつれ俺の体調は悪化していった。

腹痛は軽いけれど、徐々に気分が悪くなってきて、頭もクラクラしてきた。


まだディナーの後も亜紀と街を回る予定があるんだ。

しっかりしろ俺!


だが、俺の我慢はデザートを待っている間に限界に達した。


水を飲もうとグラスを持った瞬間、俺は急激な目眩(めまい)に襲われ、グラスは俺の手から滑り落ちた。


ガチャンッ!!


「直樹っ!?」



[ 2014/01/03 ] TB(0) | CM(2)

【寝取られ】喰われる彼女 亜紀(8)

「直樹どうしたの?大丈夫?」


「だ、大丈夫、少しフラついただけだし。」


「でもなんだか顔も赤いし……。」


亜紀が席から立って俺の額に手を当てる。


「わっ!凄い熱!」


「そ、そう?でもまぁ少し熱いかもね。大丈夫、ここに座っていればすぐに治ると思うから……あっ」


カチャンッ!


そう言ってるそばからテーブルに置いてあったスプーンを手の甲で落としてしまう俺。

頭がフラフラして、手先の感覚が鈍っているんだ。


「もう……大丈夫じゃないじゃない、こんなに熱があるんだから。」


結局俺達はデザートを食べる事なくディナーを中断。

足元もフラついていた俺は、亜紀の手を借りながらコテージへ戻った。

コテージのベッドに辿り着いた頃には俺の体調はさらに悪化し、体温も急上昇。

顔は真っ赤で頭痛もかなり酷くなっていた。

ベッドでフーフー言いながら呼吸している俺の頭に、レストランで貰ってきた袋に氷を入れた物を当てる亜紀。


「とにかく、病院行かないとね。」


「……病院?」


「だって薬もないし、原因も分からないんだからちゃんとお医者さんに診察してもらわないと。」


俺はこれ以上亜紀に迷惑をかけるの嫌で病院なんていいよと言いたいところだったが、正直そんな余裕も無くなる程俺の体調は悪くなっていた。


「ちょっとホテルの人に聞いてくるから。」


「……うん。」


忙しそうに俺のために動き回ってくれる亜紀。

コテージに1人になった俺は天井を見上げながら身体のだるさや悪化していく強烈な頭痛と闘っていた。


やばい……頭が割れそうなくらい痛い……死にそうだ……


人間、病気になると精神的な弱さが出てしまうものなんだな。

さっきまでは旅行を台無しにしまいと亜紀に気を使っていた俺だが、もうそんなのは一切消えて、自分の事しか考えられなくなっていた。

とにかく早くこの苦痛から逃れたい、早く病院に行って治してもらいたい、ただそんな思いだけが強くなっていく。


ハァ……ホントに辛くなってきた……亜紀……早く帰って来てくれないかな……


俺は亜紀が早くホテルの従業員を連れて戻ってくるのだけを期待して待っていた。

しかしそんな俺の希望とは違い、亜紀が連れて来たのはホテルの従業員などではなかった。


「おーい直樹!大丈夫かぁ?」


聞き覚えのある男の声。


「ちょっと待ってろよ、すぐ病院に連れて行ってやるからさ。」


亜紀の後ろに付いてコテージに入ってくる男3人。

ど、どうして牧原達が……。


「直樹、立てる?病院行くよ。」


亜紀……どうして牧原なんて連れて来たんだ……?


亜紀が言うには、ホテルの従業員に聞いたら病院は紹介できるけど、車を持ってる従業員が全員帰宅してしまっているために病院まで連れて行く手段がないと言われたのだと。

なんと不親切なんだと思ったが、ここはコテージにしては格安のホテルだったからサービスはその程度なのかもしれない。

それでどうしようと考えた亜紀は、レンタカーを持っていると言っていた牧原を思い出し連絡したと、そういう訳らしい。

タクシーを呼ぶ手もあったが、牧原は現地に詳しいと言っていたし、この地では知り合いの方が信頼できると思ったからとの事。


俺は情けない事にこの時には1人で立っている事もキツい状態になっていて、結局牧原の連れの体格のゴツイ男におんぶしてもらって車まで運んでもらった。

ちなみにこの体格のゴツイ男は篠田と名乗った。

そしてもう1人の高身長で細身の男は坂本と言うらしい。

俺を含めて亜紀、牧原、篠田、坂本の5人で車に乗り、俺達は病院へ向かった。


「ごめんなさい、牧原さん達も旅行を楽しんでる途中だったのに呼び出しちゃって……。」


亜紀は車が出発してすぐ、牧原達に申し訳なさそうに謝った。


「ハハッ、そんなの気にする事ないよ。俺達暇してたし、な?」


「そうそう!暇で暇でしょうがないと思ってた頃に亜紀ちゃんから電話掛かってきて3人で喜んでたくらいだからさ。」


「そうだったんですか。」


牧原と篠田の冗談っぽい口調に亜紀はクスっと笑った。


「それより亜紀ちゃん、直樹は何か変なものでも食べたのか?」


「うーん……私も同じ物食べてるけど何ともないから、食べ物ではないと思うんですけど、なんでこうなっちゃったのかな……変な細菌に感染してないといいけど……。」


再び心配そうな顔で俺を見つめる亜紀。


「まぁこの島にはちゃんとした大きな病院があるからさ、そこで診てもらえば大丈夫、心配ないよ。」


「ありがとうございます、本当に助かります。」


俺は牧原達と亜紀の会話を聞きながら情けない気持ちになっていた。

肝心な時に頼りになる牧原達と比べて、せっかくの旅行で病気になってしまう俺はあまりに情けない。

きっと亜紀も心の中でそう思っているに違いない。

俺は身体が弱っていく中で、思考もどんどんネガティブなものになっていった。



[ 2014/01/03 ] TB(0) | CM(4)

【寝取られ】喰われる彼女 亜紀(9)

病院に連れてこられた俺は、さほど待たされる事なくすぐに診察を受ける事ができた。

診断結果は、胃腸風邪だった。

飛行機内で腹が痛くなったのは予兆だったのだろう。

医者からは薬を飲んで2、3日安静にしていれば治ると言われた。

2、3日……

この南国にいる間、俺はずっとベッドで大人しくしていなければならないのか。

とは言え、病院でちゃんと診てもらえたのは良かったし、薬を飲んだら少し楽になった気がした。

何はともあれ、ここに連れてきてくれた牧原達には感謝しないといけないと思った。


「良かったね直樹、大した事なくて。」


「うん。」


診断を聞いた亜紀はホッとした表情でそう言ってくれたが、それ以降帰りの車の中でも亜紀が俺に話し掛けてくる事はなかった。

そして時折亜紀は「はぁ……」と溜め息をついていた。

俺には分かっていた。亜紀の今の本当の気持ちが。

亜紀は感情が顔に出易いんだ。

亜紀は俺の事を本気で心配してくれているけれど、同時に凄くガッカリしているんだ。

折角の旅行なのに、ずっとずっと楽しみにしていた旅行なのに、どうしてこんな事になっちゃうの?と。

そりゃそうだ。

俺は2、3日寝ていないといけない。つまり俺は2人でのこの旅行を台無しにしてしまったも同然なんだから。

でも病気はある意味仕方のない事でもあるし、俺を責める事はできないから、亜紀は本心ではガッカリしていてもそれを口に出す事はしないんだ。


コテージに戻って来て、まだ熱も頭痛もあった俺はすぐにベッドに入った。

牧原達は俺のために飲み物と消化の良さそうな食べ物を買ってきてくれたのだが、牧原達はそれだけで帰る事はなかった。

まぁこれだけお世話になっていて、すぐに帰ってもらう訳にもいかない。

牧原達はコテージの俺が寝ている部屋の隣の部屋で談笑していて、亜紀もそれに付き合う事に。


「じゃあ直樹、何かあったら呼んでね。」


そう言って亜紀は牧原達のいる部屋へ行ってしまった。

正直俺としては亜紀には牧原達の所に行ってほしくなかったが、でも仕方ない。

寝ているだけの俺の横にいても亜紀は楽しくないだろうし。ただの風邪で、小さな子供じゃないんだし、誰かに付きっきりで居てもらう必要なんてないのだから。



「亜紀ちゃんって大学どこなの?直樹と同じ?」


「えっと大学は違うんです。私は〇〇大学なので。」


「へぇ、〇〇大ってお嬢様大学だよな?そんな子がどうやって直樹と付き合う事になったのか益々気になってきたわ。」


「そんな、お嬢様大学ではないと思いますけど……直樹とはバイトが同じで、それで。」


「あーなるほど、そういう事か。ホントあいつ運良いよな、こんな可愛い子とバイト先で出会えるなんて。」


俺は身体を治すために眠りにつく必要があったが、亜紀が牧原達とどんな会話をしているのかが気になって眠れなかった。

牧原達の大きな声と、時折聞こえる亜紀の笑い声。

なんだか隣の部屋は随分と盛り上がっていて、楽しそうだった。

牧原、篠田、坂本、この3人はきっと女の子と話す事、女の子を楽しませる事に凄く慣れているんだろうなと思った。

常に話題の中心に亜紀を置いていて飽きさせないというか、きっと人見知りする女の子でもこの3人とならすぐに打ち解けてしまのではないだろうか。

亜紀の笑って楽しそうにしている声が絶えないのが、その証拠だ。


それから1時間くらい経ってからだろうか、亜紀は俺が寝ている部屋に戻ってきた。


「直樹、寝てる?」


「ううん、起きてるよ。」


「大丈夫?ごめん、うるさくて寝れなかった?」


「そんな事ないよ、薬のおかげで大分楽になったし。」


「そっか、良かった。」


亜紀はそう言ってベッドの横に立っていたのだけれど、俺を見てまだ何か言いたげな顔をしていた。


「……ん?どうしたの?」


「あ、あのね直樹……牧原さん達がこれから夜のドライブに行くんだけど一緒に来ないかって……」


「夜のドライブ?どこまで?」


「なんかね、街の夜景が綺麗に見れる場所があるんだって。」


「夜景?そう……か……」


亜紀がそこに行きたがっている事は、表情を見てすぐに分かった。

でもそれが牧原達と、というのがやはり気に食わないし心配だった。

しかし今の俺に亜紀を引き止める権利なんてある訳がない。

この旅行は亜紀も半分旅費を払ってるんだ。そのためにバイトで頑張って貯金をしてきたのだから。

亜紀はこの旅行を楽しむべきなんだ。

俺の看病なんかで潰してほしくない。


「行ってきなよ、俺は別に大丈夫だから。」


「ホントに大丈夫?」


「うん、俺はこのまま寝てるから。楽しんできな。」


「じゃあ……ホントにいい?」


「俺の事は気にしなくていいから、行ってきなよ。」


「……じゃあ……うん、行ってくるね。」


亜紀はただの風邪とは言え、病気の彼氏を置いて出掛ける事に少し抵抗があるようだった。

でも、これで良いんだ。

今回は亜紀のための旅行のようなものなのだから。

それに体調管理を怠った俺が悪いんだから、仕方ないじゃないか。


「あっ、亜紀、でもあんまり遅くなり過ぎないようにな、心配するから。」


「うん、分かった。綺麗な夜景の写真が撮れたらメールで送るね。」


亜紀は俺に笑顔を向けてそう言うと、部屋を出ていった。



[ 2014/01/03 ] TB(0) | CM(4)

【寝取られ】喰われる彼女 亜紀(10)

俺は亜紀を送り出したものの、部屋で1人になった瞬間から不安になり始めていた。

亜紀は今、俺の事をどう思っているのだろう、と。

留年という大失敗をやらかし、関係改善を図るための旅行でもこの有り様。

亜紀は俺に愛想を尽かしたんじゃないだろうか。

俺は亜紀に捨てられてしまうかもしれない。

そして亜紀は他の男のところへ……。

そう思うと不安で不安で仕方なかった。


亜紀は浮気をするような女じゃない。

その点を心配した事は今まで一度もないし、亜紀の心が他の男に傾いていくなんて想像すらした事はなかった。

でも今はその自信がない。


全く眠れない……。

亜紀と牧原達は今頃どうしているのだろう。

本当に夜景を見に行ったのか……?

考え始めると心配事は増えるばかりで、きりがなかった。

しかしそれから少しして、俺の携帯が鳴った。亜紀からのメールだ。


〖夜景凄い綺麗だよぉ(^o^)/明日直樹の体調が良くなってたら2人でまた来たいなぁ(*^_^*)〗


そしてそのメールには綺麗な夜景の写真が添付されていた。

俺は単純だな。

亜紀からのそのメールを読んだら、なんだかさっきまでの不安が消えて、ホッとしてしまった。

亜紀は今も俺の事を考えてくれている、亜紀の心にはまだ俺がいるんだ、と。

安心したからだろうか、俺は亜紀に返事を送ると、そのまま眠りについてしまった。



それから俺が目を覚ましたのは深夜の3時頃。

しかし部屋を見渡すも亜紀はまだ帰ってきていない。

時計を見て少し驚いた。

もうこんな時間なのに、まだ帰って来てないのか……?

すると外から車の音が。亜紀と牧原達がやっと帰ってきたみたいだ。


車のドアを閉める音と、亜紀と牧原達の声。

なんだか4人共テンションが高めで、はしゃいでいるような雰囲気が伝わってきた。


「あ~楽しかったぁ!本当にありがとうございましたぁ。」


「俺達も楽しかったよ。ていうか亜紀ちゃん意外とノリ良いんだね、もっと大人しい子かと思ったよ。」


「え~そうですかぁ?でも本当に楽しかったから。」


亜紀と牧原達は車を降りた後も外でしばらく会話を続けていた。

その話しっぷりを聞く限り、亜紀はかなり牧原達と打ち解けているようだった。

牧原達が時折亜紀を冗談っぽくからかい、亜紀はその度に「も~そんな事ないですよぉ」と笑いながら返したり。

どうやら亜紀はあのメンバーの中で弄られ役になっているらしい。でもそれが全然嫌じゃなさそうというか、寧ろ嬉しそうにしているみたいだった。


「あ、もうこんな時間だ。」


「もうさすがに寝ないとな。亜紀ちゃんも明日海だろ?俺達、絶対亜紀ちゃんの水着姿見に行くからさ。」


「え~そんな風に言われるとなんか恥ずかしいかも。」


「大丈夫だって、亜紀ちゃんスタイル良いしさ。服の上かでも分かるよ、特にこの辺とか。」


「ちょ、ちょっともぉどこ見てるんですかぁ、やだぁ。」


「ハハッ、いやでも本当にスタイル良いでしょ?」


「全然そんな事ないですよ、自信ないですもん。それより3人の方がスタイル良くないですか?なんか牧原さんも篠田さんも坂本さんも皆モデルさんみたいに背高いし。」


「そう?まぁ、篠田は筋肉バカだけどね。」


「おいおいバカは余計だろ、俺の筋肉はちゃんと美しさを追求してトレーニングしてるんだぞ。」


「篠田さんってそんなに凄いんですか?じゃあ私もちょっと見てみたいかも。」


「あれ?亜紀ちゃんもしかして筋肉フェチだったりするの?」


「ん~そういう訳じゃないけど……でも嫌いじゃないかも。」


「なんか亜紀ちゃん発言が大胆になってきてるねぇ、深夜だから?」


「え~そうですか?フフッ、じゃあもう寝ないとですね。」


「しっかり体力充電しとかないとな、明日も夜まで遊びまくるから。」


「そうですね、早く寝ないと。」


「じゃあ亜紀ちゃん、また明日ね。」


「は~い。」



そんな会話の後、男達3人は帰っていき、亜紀は部屋に戻ってきた。

俺は4人の会話を聞いて、また少し牧原達に嫉妬していた。

だから亜紀がベッドの中の俺の顔を確認しにきても、不貞腐れたように寝たふりを通した。

亜紀は眠っている俺の顔を見て「直樹寝てる?ちょっと遅くなっちゃった、ごめんね」と言って目を閉じたままの俺の頭を優しく撫でてきた。



[ 2014/01/03 ] TB(0) | CM(2)